2026.03.25
インタビュー
昭和の雰囲気を感じさせる店装やレトロなメニューの数々が若年層を中心に話題となり、再び脚光を浴びる「喫茶店」。今回は「喫茶店」をフックに日本独自の進化を遂げてきた「喫茶文化」の魅力を、老舗喫茶チェーンを担当する丹羽担当課長へ深掘りしました。
広域営業本部 第一営業部 担当課長
丹羽達雄
―――そもそも「喫茶店」とは何ですか?
もともと「喫茶」は鎌倉時代に生まれた「茶を飲む」ことを指していた言葉で、現在は、主にコーヒーや紅茶、清涼飲料などを飲むことを指します。そして、コーヒーや紅茶、清涼飲料と簡易な食事を提供する事業所を「喫茶店」と言います。日本人がお茶に親しんでいたのは鎌倉時代からですが、「喫茶店」の歴史も古く、明治時代にまでさかのぼります。西洋風の内装、調度をしつらえた飲食を提供する場から始まり、大正から昭和初期には「街の憩いの場」として定着しました。戦後は音響設備でレコードを聴かせる「名曲喫茶」やお客様が歌曲を合唱する「歌声喫茶」など多様な「●●喫茶」が登場し、人気を博します。1960年代に入るとコーヒーの輸入が自由化され、喫茶店数も急増。1981年に店舗数が15万軒を超えピークを迎えました。
「喫茶店」という言葉から、ミックスサンドやナポリタン、クリームソーダといった定番メニューのほか、落ち着いた照明や重厚感のある家具が配置された、昭和レトロな雰囲気が漂う空間を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。
―――喫茶店と言えばキーコーヒーの看板も思い浮かびます。
キーコーヒーでは、1973年にブランドの認知拡大を目的にアドボード看板の店頭配置を開始。その後、全国の喫茶店に広がりました。「食文化を開く鍵」という意味が込められた“鍵のマーク”が印象的な看板は、今でも生活者からの認知度が高く、日本の喫茶文化の広がりに大きく貢献したと言えるのではないでしょうか。
―――近年、若年層を中心に「喫茶店」が話題となっています。丹羽さんの「喫茶店」の出会いについて教えてください。
私と喫茶店の出会いは小学生の頃。自宅から歩いてすぐの喫茶店へ父親と行ったのが始まりで、飲み物と一緒に提供される豆菓子が楽しみで通っていました。
本格的に喫茶店を利用し始めたのは高校生になってからです。当時はテーブル型のゲーム機が設置してあり、それを目的に友人と喫茶店を利用していましたが、徐々に喫茶店ならではの落ち着いたBGMが流れるやすらぎの空間の虜に。
大学生になると友達と談笑をしたり、テスト勉強をしたり……日常的に喫茶店を利用するようになり、喫茶店巡りをするのが趣味になりました。現在でも気持ちのスイッチを切り替えたい時や集中してデスクワークをしたい時など、利用する機会は多いです。
―――喫茶店を利用し続ける丹羽さんが思う、「喫茶店」の魅力はなんだと思いますか?
喫茶店の魅力は、静謐な世界観にあると思います。一歩足を踏み入れれば、日常の喧騒から切り離された穏やかな時間が流れています。店主こだわりの内装や、丁寧にいれられたコーヒーの香り、懐かしさを感じるメニューの数々。忙しい日常で自分をリセットする、貴重なひとときを与えてくれるのが喫茶店です。
そんな空間が若年層に「新鮮な体験」や「エモさ」として響いているのではないでしょうか。
デジタル化が進む現代だからこそ、アナログな温もりに包まれながら自分と向き合える居心地の良さが新たな価値となり、世代を問わず多くの人を惹きつけているのかもしれません。
―――カフェとは違った楽しみ方があるということですね。
カフェの魅力は、「機能性とカジュアルさ」にあると言われています。Wi-Fiや電源が完備された店舗が多く、パソコン作業やスマホ利用など「活動の場」として利用できるのがカフェの特徴です。また、明るく開放的でスタイリッシュな空間は、友人との気軽なお喋りや、デートなど幅広いシーンに寄り添います。季節限定のスイーツやトレンドメニューを目当てに、カフェを楽しむ方も多いのではないでしょうか。
このように、「効率的に動きたい時はカフェ」「心からリラックスしたい時は喫茶店」と、目的によって使い分ける方が多い印象を受けます。
―――喫茶店の提供する「変わらない価値」も魅力的ですよね。
キーコーヒーでは、「喫茶店」という場所と「喫茶文化の継承」に取り組んでいます。
例えば、当社の「コーヒー教室」は、1955年4月に当時の喫茶店ブームを背景に増加した喫茶店の「開業予定者」を支援する目的で開設しました。現在においても、一般生活者に向けてコーヒーの楽しみ方や喫茶の魅力を伝えるとともに、コーヒーの抽出技術や知識を学べる場を提供しています。
さらに、近年では若年層に響く「レトロな世界観」の価値を再定義しInstagramやYouTubeで発信する活動も積極的に行っています。喫茶店特有の温もりのあるおもてなしや居心地の良さを伝えることで、流行に敏感な世代を新たなファンとして呼び込み、伝統と現代を繋ぐ橋渡しを担っています。
―――最後に一言お願いします。
喫茶店とカフェにはそれぞれの魅力があり、時代の流れとともに進化を続けています。“喫茶文化を未来へ”今後も次世代に向けてその魅力を発信し続けていくことが私たちの使命です。
ぜひ喫茶店とカフェ、それぞれをご利用いただき、ご自身でその魅力を体感いただきたいです。
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