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飲食店やカフェの利益率相場はどれくらい?計算方法や改善対策も解説

運営ノウハウ

飲食店やカフェ経営において、利益率は無視することのできない指標の1つです。利益率はどのように計算するのか、飲食店における相場や利益率を高める方法などについて知っておきたい方も多いのではないでしょうか。

この記事では、利益率の概要や計算方法、飲食店での利益率相場などについてわかりやすく解説しています。利益率を高めるための対策や改善方法についても紹介していますので、カフェ経営の基礎知識を知りたい際や、経営改善を検討する際の参考としてお役立てください。

利益率とは

利益率とはどのような数字なのか、利益率の概要や飲食店の利益率相場はどのくらいなのかについて解説します。

売上に対してどのくらい利益が出るかの割合

利益率とは、売上に対してどの程度の利益が出ているかを示す割合です。通常、利益を出すには売上から仕入れや固定費などの経費を差し引く必要があります。「月間売上100万円」「年商2500万円」といった数字を見ても、月間や年間の売上がいくらだったかという事実がわかるだけで、どの程度の利益が出たのかまではわからないのが一般的です。

利益率は、売上から経費を差し引いた残りの利益が売上に対してどのくらいあるのかを知る際に必要となる数値です。

飲食店やカフェの利益率の相場

経済産業省が発表している統計データ「商工業実態基本調査」(1998年度)によると、飲食業界における利益率の平均は8.6%となっていました。

利益率8.6%の飲食店における月間売上が100万円の場合、1ヵ月あたりの利益は86,000円となります。飲食店の利益率は10~15%前後が理想とされており、平均利益率は少なめとなっていることがわかります。

仮に利益率が15%の場合、月間売上が100万円なら1ヵ月あたりの利益は150,000円となります。飲食店の中には利益率が30%を超える店舗もあり、月間売上100万円の場合、1ヶ月の利益は30万円以上となります。

このように、飲食店やカフェを経営する場合、売上ももちろん大切ですが、売上と同じかそれ以上に利益率も重要であることがわかります。なお、飲食業界の利益率は大企業ほど利益率が低く、中小規模ほど高い傾向にあるのが一般的です。

利益率の計算方法

利益率の基本的な計算方法や、飲食店・カフェなどにおける経費の内訳についても見ていきましょう。

利益率の基本の計算方法

利益の基本的な計算方法は

【 売上-(仕入、固定費などの経費全般) 】

で求めます。また、利益率の出し方は

【 利益÷売上=利益率 】

となります。

例:月間売上100万円、月間経費85万円の場合

1,000,000-850,000=150,000

月間の利益は150,000円となります。

上記を利益率の計算式に当てはめた場合

150,000÷1,000,000×100=15

となり、月間の利益率は15%であることがわかります。

利益の合計を出す際、売上から経費を差し引いて求めますが、利益率が低くなった原因を探す際に「売上総利益」や「営業利益」を見ることも重要となります。

売上総利益とは、売上から仕入れにかかった費用を差し引いて出た利益のことです。家賃や人件費、広告費などは粗利から更に差し引くこととなります。飲食店における仕入れにかかった費用は「売上原価」にあたります。

売上総利益を出すことで、利益に対して売上原価がどの程度影響しているかを読み解くことが可能です。

営業利益とは、本業によって出た利益のことをさします。飲食店やカフェの経営以外に副業などから利益を得ている場合、お店で得た売上とその他の売上は分けて考える必要があります。

営業利益の計算式は

【 売上総利益(売上から売上原価を引いたもの)-販売および一般管理費 】

となります。販売および一般管理費とは、仕入以外にかかった家賃や水光熱費、人件費などの経費のことで「販管費」とも呼ばれます。

上記のような計算を行うことで、店舗経営の売上における仕入値の割合や、営業利益における販管費の影響などを明確にすることができます。さらに分析するために、経費の内訳についても以下で見ていきましょう。

飲食店やカフェにかかる経費の内訳

飲食店やカフェの経費は「固定費」と「変動費」に大きく分けることができます。固定費とは、毎月固定してかかる費用のことで、変動費は月によって変動する費用のことです。

飲食店やカフェの経営にかかる代表的な固定費と変動費の内訳は、概ね以下のようになります。

<固定費>

L 地代家賃(店舗にかかる家賃、ビルの管理費など)

L 厨房設備、調理機器などのリース料

L 減価償却費

L 各種保険料

このほか、クレジットカードの手数料やセキュリティシステムの使用料など、契約内容や店舗に応じて発生する固定費は異なります。

<変動費>

L 食材仕入(野菜や肉などの食材、コーヒー豆、ドリンクの仕入代など)

L 水光熱費(電気、ガス、水道)

L 通信費(インターネット、電話回線使用料など)

L 備品および消耗品(食器、テイクアウト用の紙カップや袋、ストロー、伝票類など)

L 人件費

L 広告宣伝費(チラシ、のぼり、ポスターにかかる費用など)

人件費にはスタッフや従業員への給与のほか、オーナー自身の給与も含まれます。

固定費は売上の増減に関わらず、毎月同じ額が発生する費用となり、変動費は売上の増減に比例して変動する費用となります。営業利益は固定費か変動費かに関わらず、経費を減らすのに比例して増やすことが可能です。

利益率を高めるための改善方法

利益率を高めるための改善方法や、経費を抑えるポイントについて解説していきます。

原価を抑える

利益率の改善を検討する際、食材の仕入や消耗品にかかる原価の見直しは出来る限り早い段階で行うようにしましょう。固定費や販売価格はそのままでも、原価を抑えることで売上に対する利益率を高めることができます。

原価を抑えるポイントとしては

  • ・割安で購入できる仕入先を開拓する
  • ・使用する食材の代用が可能か検討する
  • ・まとめ買い、セール品の購入

などが挙げられます。まとめ買いは送料や購入時にかかる交通費も抑えられるため、ストックできる場所があるなら検討したい方法の1つです。賞味期限間近のものやB品などのセール品もお得ですが、買い過ぎて食品ロスを出したり、品質が悪く使えなかったりするとかえって損失となるため注意しましょう。

人件費を抑える

人件費を抑える方法としてオーナーの給与を下げたり、今いるスタッフの人員を削減したりすることも可能ですが、よほど人件費の割合が大き過ぎる場合を除き、できれば避けたいところです。忙しい時だけスタッフを募集したとしても、業務に慣れるまでに一定期間がかかるうえ、接客対応は売上に直接影響する部分でもあるため、慎重に考えた方がよいでしょう。

人員削減を検討する前に、事前予約やタブレットを使ったオンライン注文、セルフレジによる決済などを検討してみましょう。オペレーションの簡略化やセルフサービスの導入には初期費用がかかるものの、長い目で見れば人件費を抑えるのに役立ちます。マニュアルを作成することで短期間の応援スタッフにも引継ぎがしやすく、人手不足によってお客様を待たせる時間を軽減できるメリットもあります。

回転率を上げる

原価や人件費を抑えることに加え、お店の回転率を上げる方法も試してみましょう。特に席数の少ない小さなお店の場合、人件費を抑えるよりも回転率を上げた方がよい場合があります。回転率とは、一定時間中にテーブルを使用する客数が何度入れ替わったかの割合です。回転率は「1日あたりの来店数÷席数」で計算します。10席あるカフェの1日あたりの来店数が50名だった場合、回転率は5回転となります。純粋に来店した客数だけでなく、テイクアウトにも対応すれば更に売上を増やし、比例して利益も伸ばすことができるでしょう。

回転率を上げるポイントとしては

  • ・注文からメニュー提供までのスピードを上げる
  • ・早く提供できるメニューの開発
  • ・会計や精算にかかる時間の短縮
  • ・満員で帰してしまうロスの削減

などが挙げられます。お店のコンセプトや規模に応じて、改善できるポイントを探してみるとよいでしょう。

販売価格の見直し

食材の価格高騰などによっては、販売価格の見直しが必要となる場合があります。オープン記念で安く提供したメニューを通常価格に戻したり、原価の高いメニューを期間限定にしたりするのも1つの方法です。

現行メニューの価格改定が難しい場合、値上げの工夫として新たなメニューを開発する方法もあります。販売価格はそのままで、使用する食材の盛り付けやカットを工夫することで原価を下げられる場合もあるでしょう。

利益率の高い商品の売上を増やす

あまり注文されないメニューのうち、利益率の高いドリンクなどがあれば、積極的にPRするのもよいでしょう。コーヒーであれば品質や味などの魅力をわかりやすく説明し、フードメニューとセットにして割引する方法などもあります。季節に応じてホットやアイスなど種類を増やしたり、SNSを通じて宣伝を強化するのもおすすめです。

カフェや飲食店の利益率を高めて安定経営を目指そう

カフェや飲食店では、売上を上げるだけでなく、利益率を高める努力も必要です。同じ売上でも、利益率が高ければ手元に残る利益を増やすことができるからです。利益率を高めるためには、営業利益や売上総利益などの計算方法を理解して分析することに加え、固定費と変動費の違いや経費を抑える方法などを幅広く知っておくとよいでしょう。お店のコンセプトや規模によっても効果的な改善方法が異なる場合があります。自身の店舗に合った利益率を高める方法を導入して、末永く安定経営を目指しましょう。

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