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経営する際に知っておきたいカフェの売り上げの目安とアップのコツ

運営ノウハウ

カフェはオープン数も多いものの、閉店率も高いのが現実です。

開業してから後悔しないために、事前にカフェの売り上げについての知識を身につけておきましょう。

カフェの売り上げ見込み額は客単価、回転率などから計算が可能です。また、いくら売り上げれば黒字になるのかの目安も計算できます。

カフェ経営を継続していくためには、売り上げ見込み額を把握するのと同時に、売り上げをアップしていく努力も必要になってくるでしょう。

この記事では、カフェを開業する前に知っておきたい売り上げの目安と売り上げアップのコツを解説します。

カフェの売り上げの目安はどう計算する?

カフェの売り上げは、客数と客単価で計算ができます。また、売り上げには「坪売り上げ」という計算方法もあります。

◆売り上げの計算式

カフェの売り上げを求める最もシンプルな計算式は、下記のようになります。

客数×客単価=1日の売り上げ

例えば50人のお客様が来店し、注文がすべて500円のコーヒーだった場合、次のような計算式になります。

50人×500円=2万5,000円(1日の売り上げ)

・回転数を加えた計算式

もう少し詳しくするためには、上記の計算式に「回転数」を加えます。回転数とは、1日のうちに何人のお客様が1つの椅子を使ったかということ。仮に5人のお客様が使ったとすると、回転数は5となります。

回転数を加えた売り上げの計算式は次の通りです。

席数×回転数×客単価=1日の売り上げ

カフェの座席数が25席で、50人のお客様が来店したとするなら、回転数は2となります。客単価が500円だとすると、次の計算式になります。

25席×2回転×500円=2万5,000円(1日の売り上げ)

・回転数を時間別に分ける計算式

この回転数は、もう少し細かく営業時間別に分けて計算することも可能です。

例えば、ランチの時間で回転数3、午後の回転数2、夜の回転数2のケースでは、回転数は3+2+2=7で1日の回転数7になり、これに座席数と客単価の平均をかけることで1日の売り上げが算出できます。

例えば座席数10席とするなら、次の通りです。

10席×7(回転)×1,000円(平均客単価)=7万円(1日の売り上げ)

上記で算出した1日の売り上げに月の営業日数をかけることで、ひと月の売り上げ見込み額が出せるでしょう。

◆坪売り上げ

物件面積から適正な売り上げを計算する「坪売り上げ」を出す方法があります。これを計算すると1坪あたりの月商が算出でき、繁盛店かどうかということが判断できます。自店の坪売り上げを把握しておくことも必要でしょう。

・席数を出す

カフェの厨房と客席の比率は、20%:80%です。客席の面積に対して適切な座席数は、ゆったりと設置するなら坪あたり1.5席、普通に設置するなら坪あたり2席、少し詰めて設置するのなら坪あたり2.5席です。

・満席率も入れて計算する

では、実際に坪売り上げを計算していきましょう。この計算には満席率も入れます。満席率とは、埋まる席の割合のことです。座席が半分しか埋まらないのであれば0.5となります。

例えばお店の面積が15坪だとすれば、80%の客席面積(15坪×0.8)で12坪です。座席を普通に設置していると1坪に2席なので12坪×2席=24席。

顧客単価は500円、回転数6、満席率0.5を下記の計算式にあてはめます。

座席数×満席率×回転数×客単価=1日あたりの売り上げ

・坪売り上げを出してみる

例としたお店のケースにあてはめてみましょう。

24席×0.5(満席率)×6回転×500円=3万6,000円

1日の売り上げは3万6,000円となり、ひと月25日営業なら90万円が月商となります。お店の面積は15坪なので、90万円÷15坪=6万円で、坪あたりの売り上げは6万円と出ました。

ここで出した坪売り上げは坪月商ともいわれ、20万円程度までなら一般店、30万円を超えるとかなりの繁盛店といわれていますので、目安として覚えておくと良いでしょう。

店の利益率とは?

上記の計算では店の売り上げ見込み額を出すことができ、カフェを開業すると「とにかく売り上げを増やそう」と思いがちです。しかし、実は売り上げよりも利益が大切なことを忘れてはなりません。

ここからは、店の利益率と黒字にするための売り上げの目安について説明します。

◆利益とは変動費と固定費を引いたお金

カフェは、売り上げた額がそのままもうけになるわけではありません。売上額から経費を差し引いた金額が利益となり、売り上げに対しての利益率を上げていくことが重要となることを把握しておきましょう。

また、売り上げから差し引く経費には、固定費と変動費があります。それぞれの内容を確認しましょう。

固定費

・家賃

・保険 など

変動費

・原価

・人件費

・水道光熱費

・販売促進費 など

売り上げに対する利益の割合である利益率は、飲食店の場合、10%から15%が目安といわれています。しかし15%を目指すのは難しいため、まずは10%を目指すようにすると良いでしょう。

◆家賃に対して売り上げはどれくらい必要?

一般的に、家賃は売り上げの10%が理想的といわれています。つまり、家賃が10万円であれば、月商100万円が必要です。

逆に、1か月で100万円の売り上げを出すための計算をしてみましょう。100万円を25営業日数で稼ぐためには、1日あたり4万円の売り上げが必要になります。

客単価が500円だとすれば、1日あたり80人のお客様に来てもらわなくてはなりません。

また、座席数が24席なら、1席あたりの日商は、売り上げ4万円÷24席=約1,700円。

客単価が500円ですので、1席あたりの1日の集客必要数は1,700円÷500円=3.4人です。

満席率の0.5を計算に入れて、回転率は3.4÷0.5=6.8となります。したがって回転率6.8以上を目指さなければならないということです。

◆黒字になるにはいくら必要?

続いて、かかる経費から計算する「損益分岐点売上高」の確認の仕方を見ていきましょう。これは、どのくらい売り上げれば黒字になるのかという、黒字になる境目の売り上げがわかるものです。

例えば、1日の来客数90人のカフェであったとします。メニューは400円のコーヒーのみとした場合、1日の売上額は3万6,000円です。

まず、1日にかかる経費を出します。家賃25万円25日営業だとすれば、1日あたりの家賃は1万円。毎日、従業員3人が7時間勤務で時給1,100円とすると、1日あたりの人件費は2万3,100円です。この家賃と人件費の合計が1日にかかる固定費となります。

また、コーヒー1杯にかかる原価は9円とします。この売上高に応じて上がっていく経費が変動費です。

損益分岐点売上高は、次の計算式で求められます。

固定費÷{1-(変動費÷売上高)}=損益分岐点

例に挙げたカフェの場合は次のようになります。

3万3,100円:固定費÷{1-(9円:変動費÷3万6,000円:売上高)}=3万3,108円

損益分岐点売上高は3万3,108円となり、単価400円のコーヒーを83杯以上売り上げることができれば黒字ということになります。

売り上げをアップするためにできることは?

実際にカフェを開業すると、継続していくためには売り上げアップをしていく必要が出てきます。カフェの売り上げをアップする方法としては下記が挙げられます。

・新規顧客数をアップする

・客単価をアップする

・座席稼働率をアップする

・リピーターを増やす

それぞれにどのような方法があるのか、確認していきましょう。

◆新規顧客数をアップする

新たにカフェをオープンする場合は、特に新規の顧客を獲得する必要があります。

カフェには近所の住人や、その土地に通勤、通学をしている人が来店してくれることが多いため、チラシ配りやポスティングを行うことも効果的でしょう。チラシにはクーポンを付けるといった工夫をして、捨てられないようにすることが大切です。

また、通りがかりの人に認知されるように看板やメニューボードを設置しましょう。たとえ、そのときに来店されなくても、気に留めてもらえれば、後日の来店に繋がります。

さらにSNSでの発信も忘れずに行いましょう。現代はSNSの発信は必須です。来店したくなるようなメニューやお得な情報などをアピールしましょう。

◆客単価をアップする

客単価を上げるためには、メニューの値上げをする方法があります。しかし単に値上げをしたのでは、お客様に不満を持たれてしまう可能性もあるでしょう。

そのため、看板メニューの値上げは最後にする、量を増やして値上げをするなどの工夫が必要です。

看板メニューの値上げは最後にするというのは、値上げをしたというイメージを強く持たれてしまうからということがあります。集客力があるメニューについては、値上げをするとしても最後にしましょう。

量を増やして値上げをする方法は、例えばコーヒーをカップではなくデカンタで出して単価を上げることです。多少量を増やしても原価はそれほど変わらず、量が増えたことでお客様も納得の値上げとなります。

また、ランチメニューにドリンクのセットを入れることで、客単価をアップすることに繋げられるでしょう。

◆座席稼働率をアップする

座席稼働率とは、客数÷総座席数で算出される数値です。満席のように見えても、2人座れるテーブルに1人のお客様であれば、座席稼働率は50%となります。

売り上げをアップするためには、座席稼働率を上げていく必要があるでしょう。そのためには、来客状況に合わせた座席配置をするといったことが挙げられます。

例えば、1人客が多いのであればカウンター席をメインにする、時間帯別の来客状況に合わせて座席の配置を換えるなどです。

◆リピーターを増やす

来ていただいたお客様に「また来たい」と思っていただき、リピーター率を上げていくことも売り上げアップに繋がります。

リピーター率を上げるには、何度も通える価格設定、飽きないメニュー、居心地の良さなどを心がけると効果的でしょう。居心地の良さについては、店内を清潔に保つことも大切です。

また、リピーターになってくれたお客様には特別扱いをする手もあります。控えめな方法としては「いつもご来店ありがとうございます」と声をかけること。

あるいは「いつもの座席」「いつものメニュー」を覚えておくなども、お客様に「大切にされている」と感じていただけるかもしれません。そして「また通いたくなるカフェ」になる可能性も高まるでしょう。

売り上げの目安や利益率を知り効率的に売り上げアップ!

カフェの経営のためには、売り上げの目安を知っておくことが重要です。また、単に売り上げを多くすれば良いというのではなく、利益率を考慮することも欠かせません。

カフェ経営を継続させていくためには、やみくもに売り上げアップを狙うのではなく、あらゆる方面から状況を把握することが必要です。

売り上げの目安を知り、効率的な売り上げアップや集客に繋げていきましょう。

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