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飲食店の営業許可証を取得するには?流れや費用・注意点を解説

開業方法・準備資格

カフェやレストランといった飲食店の開業には、飲食店の営業許可を取得する必要があります。これまでに飲食店開業の経験がないと、営業許可はどうやって取ればよいのかわからないことも多いでしょう。許可証を取得できる条件や全体の流れについても知っておきたいところです。

ここでは、飲食店営業許可証とはどのようなものなのか、営業許可証の種類や飲食店として営業許可を受けるために必要な条件、許可証取得までの流れなどについて解説しています。飲食店営業許可証を取得する際のポイントについても紹介していますので、これからカフェや飲食店を開業する際の参考としてお役立てください。

飲食店営業許可証とは

はじめに、飲食店営業許可証の概要について解説します。

飲食を提供するお店に必要な許可証

飲食店営業許可証とは、飲食を提供するお店を開業する際に必要となる許可証です。許可証を取得せずに飲食店を営業した場合は「無許可営業」となり、食品衛生法などの法律違反として罰則の対象となってしまいます。

無許可で飲食店を営業した場合のペナルティは2年以下の懲役、または200万円以下の罰金となっています。

店舗の所在地を管轄する保健所へ申請する

飲食店の営業許可は、開業するお店の地域を管轄する保健所へ申請します。営業許可の申請後、保健所の立会検査を受けて合格すれば、営業許可証の取得が可能です。

営業許可証の種類

営業許可証にはいくつかの種類があり、何をどのように提供するかによって申請するべき営業許可が異なります。カフェやカフェバーなどの飲食店で申請するべき営業許可証には、以下のようなものがあります。

飲食店営業許可証

飲食店営業許可証は、カフェやレストランなど、ほぼすべての飲食店を営業する際に必要です。以前は調理を伴わない簡単なフードメニューとドリンクの提供が可能な「喫茶店営業許可証」がありましたが、2021年5月末に廃止となっています。そのため、喫茶店を開業する場合も飲食店営業許可の申請が必要となっています。

深夜酒類提供飲食店営業開始届

カフェバーなど、深夜にアルコールを提供するバー営業をする際に必要な届けです。具体的には、深夜0時から午前6時までの間にお酒をメインとして提供する場合、最寄りの警察署へ深夜酒類提供飲食店営業開始届の届出をおこなう必要があります。

製造販売する場合も許可が必要

カフェや喫茶店などの飲食店は「調理業」に分類されますが、アイスクリームや乳製品など、特定の食品の製造や加工処理をしてテイクアウト販売をする場合には、飲食店の営業許可とは別に許可申請が必要な場合があります。

製造業の営業許可が必要な食品類は以下の通りです。

菓子/あん類/アイスクリーム類/乳製品/食肉製品/魚肉ねり製品/清涼飲料水/乳酸菌飲料/氷雪/食用油脂/マーガリン又はショートニング/みそ/醤油/ソース類/酒類/豆腐/納豆/めん類/そうざい/缶詰又は瓶詰食品/添加物

処理業の営業許可が必要な食品類は以下の通りです。

乳処理/特別牛乳搾取処理/集乳/食肉処理/食品の冷凍又は冷蔵/食品の放射線照射

販売業の営業許可が必要な食品類は以下の通りです。

乳類/食肉/魚介類/魚介類せり売/氷雪

飲食店営業許可証を取得する条件は?

飲食店営業許可証を取得するためには、以下の条件を満たす必要があります。

食品衛生責任者を置く

飲食店の営業許可を取得するためには、食品衛生責任者の資格を持つ人を必ず置く必要があります。

食品衛生責任者の資格は、都道府県の食品衛生協会が主催する講習を受けることで取得が可能です。

保健所へ許可証を申請する

管轄の保健所から営業許可を受けるために、まずは営業許可の申請が必要です。

営業許可をどのタイミングで申請し、どのような流れで許可証を取得するのかについて、以下でさらに詳しく見ていきましょう。

飲食店営業許可証取得までの流れ

飲食店営業許可証取得までの大まかな流れは以下の通りです。

物件の契約

カフェや飲食店を開業するための物件を選び、契約します。この時、前回の契約者も飲食店を経営していた「居抜き物件」の場合は、用途地域や設備が要件を満たしているケースが多く、営業許可の取得もしやすいでしょう。

もしも居抜き物件でない場合や、一から内装、設備工事をおこなう必要のあるスケルトン物件の場合は注意が必要です。用途地域による制限を受けたり、設備工事に予想よりも時間と費用がかかってしまったりする可能性があります。

用途地域が「商業地域」や「近隣商業地域」の場合は問題ありませんが、「住居専用地域」などに該当する場合、バー営業などができないケースがあるため、管轄の自治体へ確認してみましょう。

食品衛生責任者講習を受ける

物件が決まったら、食品衛生責任者講習を受講します。受講に必要な費用は都道府県によって異なりますが、1万円程度となる場合が多いでしょう。

地域によっては講習の日程が少なかったり、予約で埋まってしまって直近の講習が受けられなかったりする場合もあるため注意が必要です。スケジュールを確認して、早めに受講しておくようにしましょう。

なお、調理師や栄養士、製菓衛生士などの資格を持っている場合には、講習を受けずに食品衛生責任者になる事ができます。

内装業者の選定

物件探しと並行して、内装業者の選定も始めます。どの程度工事が必要かは、契約する物件によって異なるためです。

飲食店の営業許可を取得するためには「客席と調理場の境界部分にドアを付ける」「トイレ」「手洗い設備」「洗浄設備」など、一定の設備設置が必要となります。居抜き物件の場合も、必要に応じてエアコンの交換や壁紙、天井などの張り替えをおこなう場合もあるでしょう。内装設備工事について数社へ見積りを依頼し、選定します。

保健所へ事前相談する

物件と内装設備についてまとまってきたら、保健所へ行って事前相談をします。内装工事前に図面などを見てもらい、予定通りの工事で問題ないかを確認してもらうと安心です。また、調理を伴わない簡易な飲食物の提供では、通常の飲食店営業許可よりも設備の基準が緩くなる場合もあるため、これも確認しておくとよいでしょう。

事前相談で問題なければ、営業許可の申請をおこないます。営業許可申請に必要な書類は以下の通りです。

<営業方法申請時に必要な書類>

・営業許可申請書
営業許可申請書は、営業許可を取ろうとする管轄の保健所で入手するか、各地方自治体のホームページからダウンロードします。記入方法がわからない場合は、保健所の窓口などで確認してみましょう。


・店舗施設の図面(構造や設備が確認できるもの)
飲食店の営業に必要な設備が整っているかを確認するための図面です。CADなどのソフトを使用するか、業者から図面を入手できる場合は添付しますが、手書きで図面を作成することも可能です。

・食品衛生責任者資格の証明書類
食品衛生責任者講習を受講した際の証明書か、栄養士、調理師などの資格を証明する書類を添付します。
もし申請時に食品衛生責任者講習の受講が間に合わず、証明書類の添付ができない場合は「養成講習会受講の誓約書」を添付し、90日以内に講習を受講して修了証書を提出することも可能です。
上記以外にも、法人として申請する場合は登記事項証明書などが必要となります。申請費用は自治体によって異なりますが、16,000~18,000円程度となるケースが多いようです。

施設検査を受ける

営業許可の申請後、書類に問題点などがなければ、保健所の担当者から店舗の立会検査を受けることとなります。

立会検査でチェックされるポイントは地域によっても異なりますが、概ね以下の通りです。

・ガラス面の大きな窓があるなど、自然光を取り入れやすく、100ルクス以上の明るさが確保されているか
・窓に網戸がつけられているか
・トイレは厨房から一定の距離を取った場所に設置されているか
・扉付きの食器棚や二槽タイプのシンクが設置されているか
・充分な大きさで温度計付きの冷凍庫・冷蔵庫があり、厨房内におさまっているか
・蓋つきのゴミ箱があるか
・客室と厨房の間が仕切られているか
・食材の洗い場とは別に手洗い場が設置されているか

厨房や設備構造、トイレについては必ずチェックされますが、客室のテーブルやインテリアなどは未完成でも構いません。

営業許可証交付

立会検査で問題がなければ、後日営業許可証の交付を受けることが可能です。通知書を受け取ってから保健所へ行って直接交付を受ける場合や、郵送で受け取る場合もあり、都道府県によって対応が異なります。

飲食店営業許可証を取得する際のポイント

飲食店営業許可証を取得する際に気をつけたいポイントは以下の通りです。

開業までの計画をしっかりと立てる

物件契約から内装工事、食品衛生責任者講習に保健所への事前相談など、開業までにやるべきことがたくさんあります。タイミングが合わないと許可証の交付がなかなか受けられず、開業が遅れてしまう可能性もあるでしょう。

カレンダーや手帳、スケジュール管理アプリなどを使い、こまめに予定を確認しながら進めることが大切です。

営業許可証の更新時期に注意する

営業許可証には期限が決められており、店舗によって期間の長さは異なりますが、5~8年で更新時期となるケースが多いようです。

更新時期が近づいてきたら、期限日の1か月前までには更新手続きを忘れないようにしましょう。

もし更新せずに期限を迎えても営業を続けた場合、無許可営業として2年以下の懲役、または200万円以下の罰金といったペナルティの対象となるため注意が必要です。

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まとめ

飲食店の営業許可証は、各地方自治体へ申請して立会検査を受けることで取得が可能となります。許可証の申請時や検査時には所定の要件を満たしている必要があるため、保健所へ事前相談に行くことをおすすめします。物件の選定や契約、内装工事などのスケジュールを管理しつつ、スムーズに開業できるようにすることが大切です。

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