監修 | キーコーヒー コーヒー教室 シニアインストラクター |
金井 育子(かない いくこ) |
いつものコーヒーを華やかにするサイフォン式コーヒー。いれている時は、まるで匠になったような雰囲気を演出できます。ぜひ、誰か大切な人にご馳走したいですね。今回は、サイフォン式コーヒーの器具や美味しいいれ方を解説。洗い方やサイフォンの原理・仕組みをご紹介します。
2018.11.07
監修 | キーコーヒー コーヒー教室 シニアインストラクター |
金井 育子(かない いくこ) |
いつものコーヒーを華やかにするサイフォン式コーヒー。いれている時は、まるで匠になったような雰囲気を演出できます。ぜひ、誰か大切な人にご馳走したいですね。今回は、サイフォン式コーヒーの器具や美味しいいれ方を解説。洗い方やサイフォンの原理・仕組みをご紹介します。
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ロート・フラスコサイフォン式コーヒーに必須なロートとフラスコのセット。上部がロート、フラスコが下部です。
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ビームヒーター一般的な家庭では、アルコールランプを使用することが多いかと思います。今回は演出効果をより高めるためにハロゲンランプが熱源のサイフォン式コーヒー用のビームヒーターを使用しています。
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竹べらサイフォン式コーヒーで一番大切な攪拌 (かくはん)を行う器具です。
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布フィルターサイフォン専用の布フィルターです。
ろ過器に取り付けるための紐がついています。
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ろ過器ろ過を行うための器具です。布フィルターを付けて使用します。
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メジャースプーンコーヒー粉を入れる際に使用するスプーンです。
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タイマー1分間が正確に計れるタイマーを準備します。
ご家庭にあるデジタル式のものでも問題ないですが、今回は1分砂時計を使用しました。
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コーヒーカップお好みのカップをご用意ください。
より美味しい味わいを引き出すために、カップにはお湯を注いで事前に温めておくと良いです。
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ケトル(沸騰したお湯)お湯を注ぐためのポットです。
中には沸騰したお湯を準備します。今回はコーヒー専用のケトルを使用していますが、やかんやポットでも代用可能です。
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布フィルターを準備する布フィルターを流水でよく洗います。洗った後、フィルターを固く絞ります。
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布フィルターとろ過器をセットする布フィルターを固く絞った状態で、ろ過器にセットします。
この時、布フィルターの毛が立っている面を下(手のひらに触れるよう)にしておきます。
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フィルターの糸を引っ張り固定するフィルターについているタコ糸を引っ張り、ろ過器に取り付けます。
しっかりと糸を張ることがポイント。ここが緩いと、沸騰した時に蒸気が抜けてしまうので、きっちりと固定させます。
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蝶々結びをして固定するしっかりと糸が引っ張れたら、蝶々結びをして固定をします。
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結び目を布フィルターの内部に入れ込む蝶々結びの結び目を布フィルター内部にしっかりと入れ込みます。
コーヒー粉が注いだお湯の2割のお湯を吸うため、抽出量の2割増しのお湯を入れます。
今回は1杯あたり12gで、120mlの出来上がり量、2杯分でできあがりの量を240mlとしているので、288mlのお湯を用意しています。
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ろ過器をロートに取り付けるろ過器から垂れているチェーンを下にして、ロートの中に下ろします。
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ろ過器を固定するチェーンの先のフックをロートの先端にひっかけて固定します。
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竹べらでろ過器の位置を調整する固定したら、竹べらでろ過器がロートの中心にあるか確認しましょう。
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フラスコをビームヒーターにセットしますフラスコに水滴があると、フラスコが割れやすくなる危険性があるので、しっかり拭き取りましょう。
セットが完了したら、ビームヒーターのスイッチをオンにします。
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フラスコの湯の沸騰を確認するセットしたロートのチェーンをフラスコ内に垂らし、フラスコの底の部分からボコボコと泡が立ってきたら沸騰してきた合図になります。
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コーヒーの粉を入れるコーヒーの粉を入れます。通常のドリップの場合だと、すりきり1杯の10gくらいを入れますが、サイフォンの場合は12g。1杯あたり2g増しで入れます。
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ロートをフラスコにセットするコーヒー粉が入ったロートをフラスコにセットします。スタンドが倒れないようにスタンドをしっかりと支えながらゆっくりと差し込みましょう。
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1回目の攪拌フラスコにセットすると、お湯がロートの方へ上昇してきます。それに伴いコーヒー粉も上がってくるので、竹べらで粉を湿らせるように沈めます。
そのタイミングでタイマーのスイッチをオンにします。それから竹べらを前後に動かして粉を上下に動かしてからしっかり攪拌します。こちらが1回目の攪拌です。
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火を消して2回目の攪拌1分経過したら、火を止めて、ぐるぐると回します。これが2回目の攪拌です。上の層が白っぽくなるのはコーヒーの粉が持つガスが出た証拠。抽出が終わってきたということになります。
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コーヒー液が落ち切るとできあがりコーヒー液がフラスコに落ち切って、ろ過器の表面に泡が残った状態が理想的に抽出できた証拠です。
50秒以内にフラスコにコーヒーが落ちていくのが理想的です。
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ロートを取り外すスタンドの背中の部分を自分のお腹側にします。ロートを前後に揺すり、パッキンの部分から中に空気を入れて緩くなったら軽く回して引き上げてください。
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カップに注いでできあがりコーヒーカップのお湯を捨て、注いだら美味しいサイフォン式コーヒーのできあがりです。
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器具を流水で冷ます予熱が残って熱いので、一旦水をかけて冷ましてから取り掛かりましょう。
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洗剤で洗浄するフラスコの下部分を先に洗浄します。
先にスポンジのついた専用のものが市販されていますが、ない場合は流水で洗剤を流し込むことで代用できます。
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ロートを洗浄するコーヒー粉を捨ててロートを洗浄します。
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布フィルターを取り外して洗浄する布フィルターを取り外して、布フィルターとろ過器を洗浄します。
ろ過器は洗剤を使用して洗浄しますが、布フィルターは洗剤を使用せず、流水で洗います。
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器具を乾燥させるコーヒーは香りものなので、洗浄後はしっかりと乾かしておきます。
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布フィルターを保存するろ過器で使用した布フィルターは、水に浸して冷暗所で保管します。使用する度必ず流水で洗ってください。
布フィルターは、正しく保管することで、繰り返し使用できます。
サイフォンでいれたコーヒーは、ドリップと比べると温度が高いです。沸騰する一歩手前でいれるため、出来上がりの温度は90℃以上あります。そのためサイフォン式コーヒーならではの高い温度と、香り高いコーヒーを楽しむことができます。
コーヒー粉の上からお湯をかけるドリップ式と、コーヒー粉と高い温度のお湯を混ぜてから攪拌してからろ過するサイフォン式では抽出方法、味わいにも違いがあります。
ペーパードリップ式は、ペーパーフィルターを用いて、挽いたコーヒー豆に2分30秒から3分の時間をかけてお湯を注ぐことで、飲みごたえのある味わいが特徴のコーヒーに仕上がります。ペーパーフィルターは使い捨てで扱い易いですが、この注ぎ方で味わいが変わりますので抽出方法を見極める事が大切です。
サイフォン式は、蒸気圧を利用して高い温度とコーヒー粉を混ぜてから1分間浸漬させ、専用の布フィルターを用いてろ過します。ペーパーフィルターと比べて、コーヒーオイルが抽出され易いため、まろやかな口当たりとなります。サイフォンでいれたコーヒーは、できあがりは香り高く、温度も高いため液体は固く苦さを感じますが、適温になるとまろやかな口当たりが楽しめます。
サイフォンはギリシア語で「チューブ」「管」という意味。隙間のない管を利用して液体をある地点から、目的地まで高い地点を通って導くメカニズムを「サイフォンの原理」といいます。
蒸気機関車や蒸気船など、技術進歩によって蒸気を有効活用できるようになってきた時期に、サイフォンの原理が生まれたというのが一般的な説です。
一般的なペーパードリップが今の形になったのが1960年代で、そのころにはすでにサイフォン式コーヒーが提供されていました。布フィルターを利用するサイフォンは、ペーパードリップよりも以前から愛飲されていました。
サイフォン式コーヒーは、気圧の変化を利用してコーヒーを抽出する仕組みです。
フラスコ内の水が熱源により沸騰すると、蒸気が発生します。これにより、フラスコ内部には蒸気圧による加圧が発生して、お湯が上部(ロート側)へ移動します。
熱源を止めると蒸気がなくなり、フラスコ内が真空状態になります。そのためフラスコ側へ、吸引が起こります。この時、布フィルターとろ過器により、コーヒーと粉は分離され、コーヒーのみがフラスコ内部に移動します。
以上のように、サイフォン式コーヒーでは蒸気圧を利用してコーヒーを抽出しています。
記事監修
金井 育子(かない いくこ)